いいサッカーとは一体何か?
ボールを多く保持し、華麗なパス回しで相手を翻弄するサッカー
相手にボールを持たせて、自陣深くで守り相手を誘い込みカウンター
ロングボールを主体とした攻撃でセカンドボールを拾い波状攻撃を仕掛ける
それぞれの指導者に哲学や戦術があり、時代とともにトレンドが移り変わるサッカーにおいては、どのサッカーが正解か?という質問はナンセンスかもしれません。
前回の記事では効果的なパスとは?をテーマに書きました。
『ドイツサッカーにおける効果的なパスとは?2つの評価基準』の記事をご参照下さい。
本記事では実際にどの様なトレーニングメニューで効果的なパスのトレーニングをする事が出来るかを紹介していきます。
1.遊び感覚でボールを使ったウォーミングアップを
まずはウォーミングアップがてらに楽しみながらボールを動かす=相手を動かすというイメージを掴んでいきます。
- 形式:4:4+1
- コートの大きさは選手のレベルによって設定
- ゾーン:図の様にゾーンを3つに分ける:守備選手とフリーマンは中央のエリア
- ゴール:ミニゴール x2
- 時間:1〜2分ほど時間で区切って攻撃と守備を交代する
攻撃チーム(青)の目標は何本のパスを逆サイドの味方に届ける事が出来るかになります。
フリーマン(黄)はいつでもパスを受けることが出来、フリーマンがボールをもらって逆サイドの攻撃チーム(青)にパスを通す事も可能です。
それを阻止する守備チーム(赤)のディフェンスラインにギャップが出来るところを見極めます。
ギャップが出来ることを恐れ、守備チーム(赤)がフリーマン(黄)をしっかりと守らない場合は、上の図の様にフリーマンを経由して逆サイドにボールを運びましょう。
またギャップもなく、さらにはフリーマンもぴったりマークに疲れている場合でも、この様に3人目を使い角度を変えて相手のギャップを狙いましょう。
守備チーム(赤)がボールを奪った場合、素早くミニゴールを狙う、の様に切り替えの要素を取り入れ、守備チームも頑張ってボールを奪えば報われる様なルール作りを意識しましょう。
攻撃チーム(青)もボールを奪われた後の切り替えを意識して行いましょう。
2.スペースを作り出せ!ポゼッショントレーニング
次の段階として、方向がないポゼッショントレーニングを紹介します。
- 形式:4:4+4(3色ゲーム)
- コートの大きさは選手のレベルによって設定
- ゾーン:図の様にゾーンを3つに分ける
- ゴール:ミニゴール x4
- 時間:5〜7分 x3セットで守備チームを変えていく
攻撃チーム(青+黄)の目標は一番小さな中央のゾーンにパスを入れて、そこから3人目の味方にパスを繋ぐ事です。このパスが繋がれば1ポイントとします。
もし守備チーム(赤)が中央のゾーンを締めてきた場合には、2番目に大きい中央のゾーンで3本パスを回しても1ポイントを取る事が出来ます。 ※一番大きなゾーンでのパス回しは得点に繋がらない。
守備チーム(赤)がボールを奪った際には、4つのみにゴールに攻撃する事が出来る。
攻撃チーム(青+黄)はボールを奪われたらすぐに切り替えてボールを奪い返しにいく。
このポゼッショントレーニングでは数的優位のチームが余裕を持ってボールを回せるので、ボールを動かしながら、守備チーム(赤)の選手間に出来るギャップを狙いポイントを取りにいきます。
3.より実戦に近いトレーニングメニュー
今までの2つのトレーニングで学んだ事を最終的にはより実戦に近いゲーム形式の中に落とし込んでいきます。
- 形式:8:8
- コートの大きさは選手のレベルによって設定
- ゾーン:バイタルエリアを設置
- ゴール:ゴール x2
- 時間:7分 x3セット
攻撃チーム(青)の目標は普通の試合と変わらず、相手からゴールを奪う事です。
ただ、おまけの要素としてバイタルエリア(赤色のゾーン)にボールが入ってから3本いないのパスでゴールを決めた場合は、再度ゴールを決めたチームのボールからゲームが再開するというルールを付け加えます。
バイタルエリアのスペースを広げる工夫を上の図の様に相手選手を吊り出す運ぶドリブルであったりスペースを作る&使うポジショニングで行ってみて下さい。
中間スペースでボールを受ける事で、相手のディフェンスラインのギャップを生み出し、そこを突いていきます。
相手がバイタルエリアを中心にコンパクトに守り出したら、サイドチェンジなどでスペースが大きいところから攻撃を展開しましょう。
選手達には自由な選択肢を与え、コンパクトな相手に対して難しい中央を攻めるという事に固執させない様に気を付けて下さい。
まとめ
本記事では1回のトレーニングでウォーミングアップの部分の導入から、最後のゲーム形式に落とし込むところまでを、効果的なパスをトレーニングする目的で組みました。
ボールを動かす事で相手を動かし、相手にとってより危険なゾーン(バイタルエリア)にボールを入れる事で、相手ディフェンスラインのギャップを作る効果的なパスをトレーニング出来ます。
またパスの技術も不可欠になり、特にパススピードはドイツではパスの技術の中でも大事な要素になります。
パススピードを上げるトレーニングはこちらを参照→『パススピードが鍵?!ドイツサッカー式パス練習と6つのポイント』
スペースを見極め、試合の状況によって選手達が最善の選択が出来る判断力を鍛えましょう!