現在ジュビロ磐田に所属しており、ブンデスリーガでのプレー経験もある山田大記選手に色々と質問していくシリーズの第3回目となります。
第1回では「日本とドイツのサッカーの違い」について『【ジュビロ磐田 / 山田大記選手】ブンデスリーガ経験者のプロサッカー選手に聞いてみた』、第2回ではサッカーだけではなく、もっと根本的な部分での「日本とドイツの違い」について聞いてきました『【ジュビロ磐田 / 山田大記選手】ブンデスリーガ経験者のプロサッカー選手に聞いてみた【第2回】』。
最終回となる今回は、「日本の強みとは何か?」海外でサッカーをやっていくために、日本人だからこそ、日本でサッカーをやってきたからこその強みとは何かについて語っていただいています。
また、「上手くなる選手、成長し続ける選手の特徴」として2つの大事な力
考える力と行動する力
についても説明していただきました。
将来サッカーで海外に行きたいと思ってる日本人サッカー選手はもちろん、指導者の方、息子や娘がサッカーをやっているお父さん、お母さんも必読な内容です。
これから先どういう風に進んでいけば良いのか?そのヒントとなるでしょう。
目次
1.山田大記選手のインタビュー映像を動画で確認!!
2.日本サッカーの強みはパスの技術
ポジションにもよると思いますが、日本人のパスの技術は世界でも高水準であると山田選手は説明してくれました。
ここでいう技術とは正確なボールを蹴れるということではなく(もちろんそれは大前提として)、相手のことを思いやってパスを出せる能力のことです。
インタビューの第2回の冒頭では「多少雑でもいいから、とりあえず相手のところにパスを出すことが求められる」と言っていました。
だからこそ、思いやりのあるパスが求められるのです。
その代表的な例がスルーパスです。受け取る選手のスピードが落ちないように、1回でトラップしてシュートまで持っていけるように。
こういった思いで日本ではパスを出す事が求められますし、それが当たり前だと教えられます。
ですがドイツ人はこういったパスがうまくはありません。
今までサッカー人生で求められてきたものの違いだと思いますが、日本ほど繊細なパスを意識している国はないのではないでしょうか。
今日本で当たり前に求められるパスの部分が、海外に行くと強みとしてもしっかりと需要があるという事です。
3.日本人ドリブラーは海外で通用する?
結論、圧倒的なスピードがないと難しいと思います。
それはなぜが?山田選手もインタビューの中でおっしゃていますが、90分の試合の中で1vs1の場面というのは1回、2回あるかどうかです。
特に現代サッカーでは戦術がどんどん進んでおり、お互いのチームがどこにスペースを作るかどこで数的優位を作るかに試行錯誤しています。
また第1回目で説明してくれた、カバーが速いことで1人目をかわせたとしてもすぐに2人目がボールを奪いにきます。
その時にもボールではなく、身体に当たってくるのでさらに抜ききるという事は難しくなります。
例えば長谷部誠選手は浦和レッズ時代には中盤からドリブルで数人かわしてゴールを決めるという様なプレーもしていました。
原口元気選手も日本にいる時はドリブラーのイメージがありましたが、現在ではそういったイメージはありません。
おそらく2人ともドイツに来て、順応した結果だと思いますが、アマチュアレベルでもドリブラーだった選手がドリブラーじゃなくなることは多々あると思います。
ですがドルトムント時代の香川真司選手は、中盤の狭い位置でスルスルと数人かわしていたイメージがある方もいるかと思います。
香川選手はどちらかといえば幅広いプレーができる選手でドリブルだけではなく、パスやフィニッシュのレベルも高いのでドリブラーではないとここでは考えます。
サイド際で毎回仕掛けて勝てる選手、生粋のドリブラーとして海外で活躍しようと思ったら、圧倒的なスピードは絶対必要になってくると考えています。
4.成長を続ける選手の「2つの力」
ここからは山田選手に上手くなる選手、成長し続ける事ができる選手について聞いていきます。
この質問に対して2つの力を挙げてくれました。
考える力
考える力とは「自分に何が足りないのか、どうやったらそれを埋められるのか」を考える力のことです。
例えばドイツには毎年多くの日本人サッカー選手がプロサッカー選手という夢を抱いてやってきます。そしてその多くがそれを叶えられずに日本へと帰国していきます。そういった数多くの選手を見てきて、彼らに共通する部分が、この考える力が圧倒的に足りないということです。
その中でも自分を俯瞰する能力が足りない選手が多くいます。
自分を客観的に見て、理解すること。そこから初めて、何が足りなのか、何が必要なのかがわかって来ます。
「自分は〇〇ができて」と言える選手が多くいますが、本当にそれは長所ですか?そのレベルで上でも戦えますか?また逆に「自分は〇〇ができません」と言える選手は少ないです。
まずは自分のことを理解することから始めてみましょう。
行動する力
先程の考える力とセットになりますが、行動する力もまたものすごく重要になってきます。
客観的に自分を見て。何が今の自分に必要なのかは分かった。そのあとは?行動を起こせていますか?これができるだけで成長に大きな差が生まれてきます。
ある日本人アマチュアサッカー選手2人が一緒に陸上のトレーニングを受けました。それぞれなぜそのトレーニングが必要なのかしっかりと目的を理解した上でトレーニングをこなしました。
その後、1人はそのトレーニングをすぐにやめてしましましたが、もう1人はそのトレーニングを1年間こなし続けました。
その結果、すぐにやめてしまった方は、今ではサッカーを辞めてしまっていて、一方、1年間継続し続けた方は今現在ドイツ4部でプレーしており、プロサッカー選手として3部昇格に向け戦っています。
これは極端な例かも知れません。決して継続したからといってプロサッカー選手になれるわけではありませんが、可能性は前者に比べてアップする事は間違いないでしょう。
じゃあとりあえず継続すれば良いのか?と思う人もいるかも知れませんが、そこは先程言った考える力が大事になります。
やってみた結果、自分に合うのか合わないのか、他の方法はないのか、を考えた結果、継続をストップすることも継続し続けることと同じくらい大事なことになります。
なのでまずは自分自身を理解して、まずは行動してみること。このことを大事にしてみてください。
まとめ:自分自身を理解して、さらにサッカーが上手くなる
日本で生活し、日本でサッカーをしている選手に向かって「日本人らしさ」と言っても難しいものがあるかも知れませんが、自分自身の長所、短所は何かをまずは整理してみて下さい。
もし海外にチャレンジしたいと思っている選手は、さらに日本人としての強み、弱みも考えてみると良いと思います。
そこからは然るべき努力を継続すること。そうすれば自ずと結果は出てくるはずです。
今回対談を行って頂いた山田選手から本当に貴重な情報を多くもらえました。山田選手本当にありがとうございました。
皆さんも今回の記事で出た情報をヒントに成長のチャンスを手に入れてください!