【ジュビロ磐田 / 山田大記選手】ブンデスリーガ経験者のプロサッカー選手に聞いてみた

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「ドイツサッカー、ドイツサッカー」とは言ってるけど、実際レベルが上がればどの国も差がないんじゃないの?

サカストでは「日本サッカーとドイツサッカーの違い」をテーマに日本サッカーがより強くなるために最先端の戦術やトレーニング法、考え方などを多くの皆さんとシェアできればと考え記事を書いてきました。

ただ、冒頭でも書きました通り、疑問に思う方もいるかと思います。

「アマチュアだから」「レベルが低いから」「プロの世界だと違うんじゃないの?」

そんな問いかけに少しでも答えられたらと思い、今回はブンデスリーガ経験者で現在はジュビロ磐田で活躍されている山田大記選手に日本サッカーとドイツサッカーの違いを中心にインタビューに答えて頂きました。

合計3回にわたるインタビュー記事の第1回目となる今回は「日本サッカーとドイツサッカーの違い」についてです。

「戦術の理解度の高さ」
「守備の上手さ」

山田選手が挙げたこの二つの要素についてアマチュアサッカーと比較しながら説明していきます。

今回の記事を最後まで読むことでよりドイツサッカーの特徴を理解することができ、今までとは違う視点でサッカーを楽しむことが出来るかと思います。

1.山田大記選手ってどんなサッカー選手?

皆さんもちろん知っているかと思いますが、簡単に山田選手のこれまでの活躍を振り返っていきたいと思います。

静岡県生まれのサッカー選手。サッカーの名門高校である藤枝東高校を卒業後、明治大学に入学。2011年に幼少時代を過ごしたジュビロ磐田に加入し、そこで3シーズンプレーします。

その後ドイツに渡り、当時ブンデスリーガ2部のカールスルーエSC加入します。1年目の2014-15シーズンでは33試合に出場し6得点の活躍を見せ、チームとしても1部への昇格プレーオフに出場するもハンブルガーSVに敗れ1部昇格は叶いませんでした。

2017年にカールスルーエの退団と、ジュビロ磐田への復帰を発表。現在はJ2リーグで1部昇格を目指し戦っています。

2.山田大記選手がドイツサッカーの特徴について語ってくれた

3.日本サッカーとドイツサッカーの違いは何!?

戦術理解度の高さ

山田選手がまず挙げてくれたのがこの「戦術理解後の高さ」です。

これを聞いた時にもしかすると「え、日本人って戦術理解度が高いんじゃないの?」と思った方もいる方と思います。

アマチュアサッカーでも多くのドイツ人監督たちが日本人を評価する際には「あの選手が気が利くよね」とか「戦術理解度が高いよね」という風に言ってもらうことがあります。

ここで言う気が利くとは、例えば、「自分が右サイトでプレーしていて左サイドの選手が前に上がっていった場合には上がらずに次の守備に対して準備をする」などといったことだと思うのですが、これは=で戦術理解度が高いと言えるのでしょうか?

山田選手はさらに この戦術理解度の高さを選手として2つの能力に分けているのですが、ひとつが

個人戦術の高さ

そしてもう一つが

監督の求めることを遂行する能力の高さ

と表現しています。

まずは一つ目の個人戦術の高さの部分に関してです。これはあくまでも個人的な見解となりますが日本人選手の場合、レベルが下がれば下がるほどこの個人戦術に関しては低くなります。

逆にドイツ人選手は基本的にサッカーを知っている選手が多いと感じます。

「ディフェンスの時にどこに立つのか?」「今どういったプレーを選択すべきなのか?」など判断が求められるシーンでより良い判断ができる選手が多いとです。

これに関してはやはりドイツという国のサッカー文化が大きく影響を及ぼしているかと考えます。

小さい頃からブンデスリーガという世界最高峰のレベルを間近で見ることが出来ることで、サッカーについての知識を吸収していっています。

2つ目の「監督の求めることを遂行する能力の高さ」ですが、私が当時ドイツの5部でプレーしていた頃、そのチームでは多くの決まり事の中でプレーすることが求められました。

「スローインの時はこう」「あの選手がボールを持ったらこう」と、ドイツ人選手たちは勝つためにそういったタスクを忠実にこなしていました。

アマチュアレベルでも、ドイツ人の勝つために手段を選ばない姿勢、真面目な部分、を体験する事ができ、そのシーズンはリーグを上位で終えるなど好成績を収める事が出来ました。

ここで「でも、日本人だって真面目だし言われたことはこなせるじゃないか」と言った疑問も出てくるかと思います。

その違いは理解して、納得してプレーしているかの部分です。

ドイツ人は戦術練習を行う際に分からないこと、納得できないことがあるととにかく質問します。

もちろん監督が最終的に決定権を持っているのですが、この本当の意味で理解してプレーするかどうかはドイツ人選手にとって大事な部分になります。

またこの部分ともリンクするのですが、山田選手もインタビュー内で言っていた「ドイツ時代の監督はすべての現象を説明できる」こういったことも選手を納得させる上で大事なポイントになってきます。

サカストではサッカーに正解はないと常々紹介していますが、ドイツ人監督は特に自分の考えに対してものすごく自信を持っています。

自信を持って選手にこうだと言い切ることで選手たちもしっかりと納得でき、そして信頼をして、監督が決めた戦術、プランでプレーする事が可能になります。

守備/ディフェンスの上手さ

山田選手が 2つ目にあげてくれたポイントが「守備の上手さ」です。

以前サカストでも「日本とドイツの守備の違い」といった記事を書かせていただきました。

ドイツと日本での1対1の守備の決定的な違いとは?』の記事をご参照ください。

ドイツでは日本よりもよりボールを奪いにくる感覚が強いということをお伝えしましたが、今回山田選手もドイツの守備を「間合いが近い」「身体に対して守備する」と表現しています。

個人戦術として見てみると、例えば日本人だとボールに対して守備するので、足を振り上げる、またはボールを突こうとする、この守備の仕方が一般的です。

この守備の仕方だと相手選手を蹴ってしまう可能性も高くなりファールになる確率も上がります。

バサラマインツでもドイツ人選手が「日本人選手の守備の仕方は危ない」と言うことがあるのですが、ドイツ人がそう感じるのはここが原因かと思います。

対してドイツ人選手は人に対してディフェンスします。先程の視点でいえば身体に対してぶつかって来るので、吹っ飛ばされることはあっても足を振り上げることはないので危なくはありません。

またきれいに逆を取ったりしても、ドイツ人選手は身体を見ているので、最終的にぶつかられてしまってバランスを崩されてしまうことが多いです。

日本だと「けどそうやって突っ込んでいってかわされたらチームとしてマイナスじゃないか」ということで基本的に相手の前で一旦止まるディフェンスが行われていると思うのですが、先程言った2つのポイントはチームとして守る時にも非常に大事になってきます。

1人目であるファーストディフェンダーがすごい勢いで相手選手に突っ込んでいく、奪いに行く理由としては、決してそこでボールを奪いたいからではなく、(もちろんそこで奪えたら最高ですが)

「対戦相手のバランスを崩す」

ことが求められています。対戦相手のバランスを崩す、ルックアップさせない、サイドチェンジさせない、その間に2人目、3人目の味方が囲みにくる。

そうやってチームとしてボールを奪うためにもこのファーストディフェンダーの役割が大きくなってくるのです。

これはアマチュアの世界でも同じように求められます。多くの日本人選手がする抜かれない守備の仕方ではドイツ人相手にとってはさほどプレッシャーになっていないのです。

そうすると相手選手は余裕を持ってルックアップすることができ、簡単に空いているスペースを使われてしまいます。

ドイツに来たばかりの日本人選手が苦労するポイントの多くがここなので、この違いを知ってた上で海外挑戦出来れば大きなメリットになります。

まとめ:日本人と外国人、そしてサッカーの違い

以上第1回目は日本サッカーとドイツサッカーの2つの違いについて書いてきましたが、どちらがいい悪いというわけではなく、双方のサッカーの違い(特徴)を知る事で、選手としても指導者としても自身の強みが見えてくるのではないかと考えます。

ドイツはサッカーの歴史も長く、学べる部分、盗める部分は盗んで、日本らしいサッカーのスタイルの確立が出来ていく。

そしてもう一点理解しておくべきポイントは、日本人と外国人やドイツ人は違うということです。

育ってきた環境が違えば、考え方も違います。それはもちろんサッカーでも言えることでしょう。

そもそもの根本の部分が違うことを理解してドイツやスペインのサッカーを見て、その上で日本サッカーについても皆さんと一緒に考えていければと思います!

それでは第2回目のインタビューもお楽しみに!

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