判断力が遅い選手のためのドイツ式パス練習 最も大事な1つのポイントとは

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「判断が遅い」「判断が悪い」はサッカーをプレーしていく中で、よく聞かれるフレーズの一つだと思います。

そんな中で判断を早くしたい、良くしたいと思っている選手や指導者の方も多いことでしょう。

例えば、キックを上手くしたいならキックの練習を、体を強くしたいのなら体幹トレーニングをなど、向上させたいスキルの具体的なトレーニング方法が比較的簡単にイメージがつくものなら良いでしょうが、判断力の様な少し曖昧なスキルを実際にどの様に鍛えていけるのかを明確に理解している人はなかなかいないのではないでしょうか。

今回は、前回紹介した「スキルシャツ」(2色に分かれたドイツ発祥のビブス)を使って判断力を鍛えるためのパストレーニングを紹介していきたいと思います。

判断力を鍛える方法がわからない、または頭を使う何かいいトレーニングはないかなと探している方はぜひ最後まで読んでみて下さい。

1.判断力を鍛えるドイツ式パストレーニングの方法を動画で確認!

2.判断力を速くする方法を具体的に解説

メニュー1

四角形のグリッドを用意します。(大きさは任意で、選手のレベルや年代に合わせて変更して下さい。)

4角にそれぞれスキルシャツを着た選手を配置します。(各角に2人ずつほど)この時になるべくスキルシャツの色がバラバラになるように前もって準備しておいて下さい。

基本的なルールとしては、例えば選手Aが右側が緑色、左側が赤色のビブスを着ていたとします。その際、その選手Aは、右足では緑色を持っている選手の緑色側の足にしかパスを出すことができません。(※もちろん受け手の選手もパスを出された色の足と同じ色の足でトラップしなければいけません)

メニュー1ではこの原則を使ってパス練習します。選手Aは自分と同じ色を持った選手を残りのB、C、Dから選びパスを出します。

コレを繰り返していきます。

メニュー2

先程のメニュー1で行っていたことをリフティングで行います。コレはかなり難易度が高いので、まずはフリータッチから、出来る様になってきたらタッチ数を制限するなどしてどんどん難しくしていきましょう。

メニュー3

メニュー1と2で使っていたグリッドの各辺にミニコーンを2つずつ配置していきます。(色はなんでもいいですが、なるべくバラバラになる様に配置して下さい。)

基本的なルールはメニュー1で説明したものと同じです。メニュー3ではさらに1つのルールを付け加えます。

パスの出し手の選手はパスを出す際に1つの色を伝えます。その時に言う色は受け手の選手の目の前にあるミニコーンの2つのうちの1つです。

受け手の選手は言われた色の方向に向かってトラップします。なるべく1発でそのコーンをかわせる位置までトラップしましょう。

※注意点としては、言われた色は止める方向で、パスを止める足は先程までと同様に、パスの出し手の足の色になります。

3.認知 判断 実行

「判断、判断」といっていますが、実際に判断とはなんなのでしょうか?

サカストでは何回かすでに説明したことがあるのですが、サッカーというスポーツにおいて1つのプレーが実行されるまでには3つのプロセスが存在しています。

その3つが「認知、判断、実行」です。

1つ目の認知ですが、そもそも見ることが出来ているかということです。判断を下すためにはそもそも判断を下すための材料が必要になります。

味方の位置、相手の位置、スペースの場所、ボールの場所など、試合中に見えるもの、見なければいけないのものはたくさんあります。

判断が悪いという言葉で片付けられているプレーでも、もしかするとそもそもその状況を正確に見ることができていなかったかもしれません。

2つ目が判断です。ここが皆さんがイメージしている「判断」の部分だと思います。しっかりと見て集めた情報から、正しい選択肢を判断すること。ここの部分で間違った選択肢を選んでしまうことが、「判断が悪い」と言われることになります。

そして3つ目が実行です。言葉の通りですが、見て判断したことを実行するフェーズになります。より具体的なアクションですね、例えばパスであったり、トラップであったり、シュートであったり。この部分でミスが起きるということは、技術としてボールを扱うことができないということであったり、体を扱うことができないということになります。

まずは自分がどの部分でのミスが多いのかを確認して下さい。そこでやっとそれに対する解決策を導き出すことができます。

4,最も大事な1つのポイント

今回紹介したこのパス練習で一番大切にしてもらいたいことは、「見る」ということです。

「速くプレーしよう」などとコーチングすると、トラップから早く、やパスのスピードを早くしてプレーしてしまうのですが、このトレーニングでは頭の中を速くすることを意識して下さい。

ボールをもらう前に必ず残りの3選手を見ておく。自分のマーカーの色を見ておく。自分の色を見ておく、、、。

この見るという行動を当たり前にしつつ、そのスピード感を上げていくことが大事です。もしかすると頭の中がいっぱいいっぱいになってパスやトラップが疎かになるかもしれませんが、技術的な部分よりもまずはこの「見る」をテーマにトレーンングを行っていって欲しいなと思います。

まとめ:判断を速くするために「見る」を徹底しよう

世界のトップ選手たちが試合中によく首を振っているシーンを見たことがあるでしょうか?それくらい「見る」ということ、情報を集めることは大事なことなのです。

ですが、意外とその「見る」ということ自体が出来ていない選手も数多くいます。

まずは「見る」こと。そこから質を上げていきましょう。どこを見るのか、何を見るのか、いつ見るのか。

今回のトレーニングはその「見る」を鍛えるものだと思って、ぜひ積極的に取り組んでみて欲しいなと思います。

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