サッカーの細かな技などを含めた「アジリティーは日本人の武器だ!」
よく聞くフレーズです。
そして、子供達には細かな動きばかり教えていませんか?
アジリティーは何となく「スピード感」も連想させます。
しかし、その2つには大きな差があることを理解している方は少ないようです。
また、足が速いというのは才能だけだと思っているのではないでしょうか。
後述しますが、ドイツでは足を速くするための重要なトレーニングも幼少期から行っています。
よってここでは、サッカーで必要なアジリティーとスピードの違い、またスピードを重視したドイツでのトレーニング方法などをご紹介します。
目次:
目次
0.まずは動画でドイツ人と日本人とのスピードの違いを確認してみよう!
1.サッカーで必要なスピードとは?アジリティーとの違い
短い距離や方向転換を含むものがアジリティー、真っ直ぐ走る速度の程度がスピードだと思っていませんか?
スピードとは?
まずはスピードですが、これは簡単です。単純に走る速さを指します。
もちろん、距離や角度等々様々な条件がありますが、基本的な考え方は速度を指します。
アジリティーとは?
一方でアジリティーとは、速い速度の中でどれだけ自分の身体を扱えるかということになります。
ですので、どちらかと言うとコーディネーション能力に分類されるかと思います。
コーディネーション能力に関しては、『ドイツサッカーで重要視されている7つのコーディネーション能力とは?』で詳しく解説しています。
「日本人の武器」とは?
では、冒頭でもお伝えしているように、アジリティーは本当に日本人の武器なのでしょうか?
もちろん自分の身体を自由自在に扱えることは大きな武器になると思います。ですが、結局は大本であるスピードが速くないとその能力は十分には発揮されません。
よってサッカーには「スピード」が必要だということ、それぞれのトレーニング方法も異なってきます。
2.スピードが分かれ目!プロとアマチュアを分ける大きな差
先日、参加してきたドイツ国内での指導者講習会にて、教官の先生がはっきりと言っていました。
「プロとアマチュアを分ける大きな差はスピードです。ドイツの5部リーグ(アマチュアクラスの1番上)にもプロ選手と同じくらいテクニックがある選手はいますが、その選手にとって足りないものはスピードです。」
アマチュアリーグでもテクニックがある選手はたくさんいます。
日本でもそうではないでしょうか?
高校選手権など見ていてもテクニック(技)が上手な選手が多いですね。でも、そこに足りないものはスピードなのです。
3.スピードは才能だと決めつけている日本人
足が速いのは才能。こう思っている人が大半だと思います。
特に練習をするわけでもなく速い、遅いがはっきりと分かれるのですから当然だと思います。
だから、足の遅い子はその部分には着手することなく、ほかの部分に力を注ぐのです。
足が遅いということは可能性が大きいということ
しかし、逆に足が遅いということは、しっかりとしたトレーニングを実践すれば伸びる能力があるのも事実だと思います。
なのでここで言いたいことは、足が速いは才能だけが決めるものではないということです。
そこにはシッカリとしたトレーニングがドイツには存在します。
長い距離ばかり走らせる日本との違い
また、逆に体力はやった分だけ力がつくと思っているのものです。とりあえず長い距離を走る。これも日本人の武器だと思います。
実際に走れば走るほど体力はつくものです。
しかし、ドイツでは練習や試合を通して体力を自然と鍛えています。詳しくは、『走る練習をしなくても走れるドイツの2つの理由と方法』をご確認下さい。
ちなみに、子供たちに単純に長い距離を走らさせたりしていませんか?
ですがサッカーというスポーツにおいて、一定の速度で走り続けることがどれくらいあるのでしょうか?
これも先日の講習会で聞いた言葉なのですが、「スプリンターはマラソン選手にもなれる」とドイツサッカー協会として言っているのです。
要するに、短い距離を走るスプリント能力さえUPすれば、体力も自然とつくということを言いたいのです。
4.ドイツでスピードが1番重要視される理由とは?
ドイツでは少年を教える際に、何よりも重要視されるべきはスピードだと教えられます。
皆さんは速く走るための筋肉と遅く走るための筋肉があるるのはご存知ですか?
早く走るための筋肉が速筋、ゆっくり長く持久力がある筋肉を遅筋と言います。
そしてトレーニングにより両方(速筋と遅筋)になれる筋肉も存在します。
その筋肉は鍛え方によっては速筋にもなるし、遅筋にもなるのです。どちらにもにもなれる筋肉の割合が大人が2~3%持っているのに対して、子供は12~15%持っているのです。
そのうちの10%程度を速筋にすることがドイツサッカーでは重要と考えており、その方法が、短い距離をスプリントすることなのです。
5.「ドイツ式」スピードUPのためのトレーニング方法
ではドイツではどのようなトレーニングが行われているのでしょうか?
「スピードUP」のための重要な要素とは?
では、速筋を鍛えるためには具体的にどういったトレーニングをするのか、スピードを上げるために必要な4つの要素があります。
- コーディネーション能力 ※言わずもがな、自分の身体を思ったように扱うことが出来なければいけないということです
- 筋肉の柔軟性
- 筋力トレーニング ※『ドイツ流!サッカーに必要な「体幹」の4つの鍛え方・トレーニングの効果』の記事を参考にしてみて下さい。
- 持久力トレーニング
結局のところすべてのトレーニングが相互に作用していることが分かりますが、大事なことは理解すること、と何を目的にトレーニングしているのかをはっきりさせることです。
重要!トレーニングの際に気を付けるポイントとは?
最後にスピードトレーニングを行うにあたって気を付けるべきポイントを6個紹介したいと思います。
- 十分なウォーミングアップ(動的なストレッチ)
- 短い距離のスプリント(単調ではない)をマックスのパワーで行うこと
- しっかりと休憩させること。約10メートルのダッシュに対して1分間
- 常に完全に回復した状態でダッシュを行うこと
- 登り坂は少なく
- 下り坂は傾斜が低いものに
以上の6点が抑えるべきポイントなのですが、その中でも特に2,3,4は意識する必要があります。
この3点を意識することが、ただのダッシュのトレーニングからスピードトレーニングへと変えてくれるのです。