「判断が悪い」
サッカーをやっている方、やっていた方は誰しもが聞いたことがあるフレーズではないでしょうか?
例えば「あの選手はドリブルが上手くないんだよな」や「シュートが決められない」などの課題があった場合、あなたならどうしますか?
単純にドリブルの練習をたくさんしたり、シュート練習を数多くこなすと思います。
では最初の「判断が悪い」選手がいたとしたら、どうやってその部分を改善し、向上していこうと考えますか?
今回はその答えとなるであろう一つのトレーニングメソッドをお伝えしていきたいと思います。
目次
1.判断力を鍛えるトレーニングメニューを動画で確認!
2.潜在能力を引き出すドラウタビリティとは?
今回紹介していきたいと考えているのは「ドラウタビリティ」というトレーニングメソッドです。
ドラウタビリティとはスポーツ健康科学者である安光達雄博士が考案した瞬時の判断力とフィジカルを高めるトレーニングメソッドです。
視覚、聴覚、運動覚を総動員するプログラムにより脳を刺激して、瞬時の判断力やコーディネーション能力やフィジカルを向上させます。
自分自身が本来持っている「潜在能力」を引き出すことを「ドラウト(Drout)」すると言い、そのトレーニングメソッドを「ドラウタビリティ(Droutabillty)」と言います。Draw out Abillityからきた造語です。
最近の研究では、前頭前野の脳活動を増加させるのに非常に効果的であることが解ってきました。前頭前野は、「考える」「記憶する」「アイデアを出す」「感情をコントロールする」「判断する」「応用する」など、人間にとって重要な役割を担っています。これらはサッカーをする上でも非常に重要な要因となります。
3. 本当に「判断が遅い」のが原因なのか?
この記事を読んでくれている方は、おそらく、サッカーにおける判断を速くしたい、判断能力を向上させたいと思っている方だと思います。
そういった方たちはミスが起きる際によく監督やコーチから「判断が遅い!」と言われるのではないでしょうか?
ここでは根本的な問題として、そもそも今起きたミスは本当に「判断が遅い」ことが原因で起きたことなのかを考えていきたいと思います。
サッカーでは1つのプレーに対して3つの過程を踏むと言われています。
1つ目が認知です。
認知とは、しっかりと見て、今の状況を認識できていたかどうかということです。
味方の位置、敵の位置、ボールの位置、どこにスペースがあるのかなどなど。判断を下す上で欠かすことの出来ないファクトをまずは把握することができているのかということです。
2つ目が判断です。
先ほど集めた情報をもとに、今自分がやらなければいけないことを判断します。
そして3つ目が実行です。
認知して判断したことをこの段階で実行に移します。キックやトラップ、ドリブルなど具体的な技術の部分がこの実行にあたると考えて下さい。
それではもう一度自分のミスに対して考えてみて下さい。本当に判断が遅いことが原因ですか?まずしっかりと周りは見えていますか?敵の位置、味方の位置は把握できていましたか?
もしくはしっかりと判断はできていたけど、パスが少しずれていませんでしたか?思っていたところにボールを止めることができていましたか?
もう一度しっかりと自分を分析した上で、判断の部分にやっぱり問題があると思った方は、これから紹介する伝達系のトレーニングをしっかりとこなすことで、判断の部分でしっかりと効果が得られるかと思います。
4.トレーニングを行うおすすめのタイミング
基本的にはいつ、どんな時でもこのトレーニングをやっていただいてもいいのですが、その中でもおすすめのタイミングがあるのでお伝えしたいと思います。
それはずばり、「スタート」です。
「どういうこと?」と思った方も多いと思いますが、例えばわかりやすい所で言えば、「練習のスタート」です。要はウォーミングアップですね。
その他には、「1日のスタート」または「1週間のスタート」とも取れることができるかと思います。特にオフ明けの最初のトレーニングなどで入れてあげるといいと思います。
神経系のトレーニングを行うことで、頭と身体が起き、より覚醒した状態でトレーニングに臨むことができます。
ですのでオフ明けやウォーミングアップの際に積極的にこういったトレーニングを導入してもらえればなと思います。
5.判断力を鍛える2つのトレーニングを紹介
具体的なトレーニングを2つ紹介したいと思います。
その時に用意してもらいたいのが以下のような1から9までの番号が書かれたマーカーと十字の形のしたマーカーです。
これらはドラウタビリティ協会のホームページから購入することができますので、もし興味がありましたらぜひ購入してみて下さい。
http://www.stabi.com/
①1人で行うトレーニング
1-一列に番号付きマーカーをランダムに配置します。
2-サイドステップを踏みながら1から9まで順にタッチしていきます。
バリエーション
サイドステップだけではなく前後のステップで行う
偶数だけ、奇数だけにタッチする
②複数人で行うトレーニング
1-番号付きマーカーをランダムに配置します。
2-十字のマーカーを中心のあたりに配置します。
3-選手は十字のマーカーの上でステップを踏みながらコーチの掛け声に合わせて、指定されたマーカーにタッチして再び十字のマーカーまで戻りステップを続けます。
バリエーション
番号を指定する方法を変える
色、足し算、引き算、連想させるもの(りんご=赤)など
ステップを変える
前後両足ジャンプ、片足ジャンプ、クロスステップ、ボックスジャンプなど
※ステップを踏む際に、①腕はしっかりと振れているか?②体幹はブレていないか?③全力でステップを踏めているか?の点にも注意を向けることで、脳の活性だけではなく、コーディネーション能力も鍛えることができます。
まとめ:判断力を鍛える=脳を活性化させる
判断力を鍛えるというのはインサイドキックが上手くなるとかドリブルが上手くなるなどと違い、抽象的でわかりにくい部分かと思います。ですが、だからこそ、その判断力の向上に着目し、取り組むことで他の選手やチームと差をつけることが可能になるのです。
サッカーというスポーツは、足が遅い、身体が小さい選手でも十分に戦うことができるスポーツです。
そのためにもぜひ判断力という武器を手にして欲しいなと思います。