ドイツのアマチュアチームのトレーニング前の光景といえば選手達が大笑いしながら行っている「ボール回し」(トリカゴとも言う)が凄く印象的です。
本当に多くのアマチュアチームのトレーニングを見てきましたが、しっかりとトレーニングが始まる前の遊びのボール回しでも、チームのレベルが見て取れるので見ていて飽きません。
自分自身が選手としてドイツに来た18年前に衝撃だったのはボール回しの際のミスの基準が日本と違う事でした。
例えば、日本で味方に出すパスがズレたり、処理しにくいボールを出してしまった場合、パスを出した選手がミスとしたという判断になり、次の鬼としてボール回しの守備に回ります。
ところがドイツではボールさえしっかりと味方の選手に届いていれば、ボールが悪くて処理しにくかったことが原因で起きたミスは、ボールを受けた側の選手のミスとして判断されます。
「いや、今のはパスが悪かったから、パスを出した君のミスだろ?」とドイツに来た手の頃の私は思っていましたが、ドイツでの基準を分かっていなかったので、最初の頃は凄く戸惑いました。
その他、ボール回しの枠から大きくそれてしまったボールが浮いているボールであればドイツ人の選手は大きな声で「アインマール!」(ワンバウンド!)と言って、例えボール回しの枠から10m離れようが20m離れようが、ツーバウンド目するまではプレーが続くのもドイツならではだと思います。ついには枠の外でリフティングを始めようとする強者も出てくる事もあるので要注意です。笑
ボール回し一つとっても基準の違いが面白いサッカーですが、ここからはドイツのブンデスリーガのチームでも取り入れられているボール回しを紹介していきたいと思います。
1.角度を取れ!3対1でのボール回し
- オーガナイズ:3対1、1辺あたり4〜5m
- コンタクト:アンダー2、難易度を上げるなら2タッチの後は必ずダイレクト
- ルール:20本パスが回れば二重鬼、股抜きしたら二重鬼
4対1ではなく、何故3対1のボール回しなのか?という部分を少し説明したいと思います。
4対1のボール回しでよく見る形が選手達がそれぞれ角のポジションを取ってボール回しを行うというものですが、この形では選手の動きが極端に無くなってしまいます。
その理由から4対1を行うにしても、選手達を角ではなく、辺に立たせるようにしてみて下さい。それだけでもボールを持っている選手のサポートをする為に少しオフザボールの動きが出てきます。
それ以上にお勧めなのが3対1で、この形だと一つの辺が選手がいない状況になり、パスコースを増やす為には、選手がオフザボールの動きを増やし、角度を取れる状態にしなければなりません。
この様に強制的にボールを持っているチームの選手の動きを増やす事が3対1では可能になります。
オフザボールの動きが増える事で実際にパスが凄く回りやすくなるので、是非試してみてください!
2.加速しながら技術発揮のコツを掴め!移動式ボール回し
- オーガナイズ:3対1、1辺あたり4〜5mのコートx5
- コンタクト:アンダー2、難易度を上げるなら2タッチの後は必ずダイレクト
- ルール:20本パスが回れば二重鬼&一番奥のコートでパスを5本回せば二重鬼
- 特別ルール:5本パスが回れば一つ奥のコートに移動出来る / コート2つ飛ばしは禁止!
この様にボール回ししながら方向をつけて移動をしていく形をとる事で、加速をしている状態でパスを出す、ボールをコントロールする技術を身に付ける事が出来ます。
先ほど紹介したボール回しでは、角度を取る動きはす出来るものの、前進(加速)しながらボールを扱うという動きは少なかったですが、このボール回しではその要素が多く入ってきます。
ミスが多くなるのが、この前進(加速)をしながらのプレーです。
実際の試合では選手は絶え間なく動いており、とまったままプレーする事の方が少ない事を考えると、この前進(加速)しながらボールを扱う技術や、その中での判断を鍛える事は、より実戦に近いボール回しになると言えるでしょう。
3.サッカーの攻→守の切り替えを練習!ダッシュするボール回し
- オーガナイズ:3対1、1辺あたり4〜5mのコートx3
- コンタクト:アンダー2、難易度を上げるなら2タッチの後は必ずダイレクト
- ルール:ボールを奪われた選手が守備の選手がいないコートに守備に行く①
- 特別ルール:20本パスが回るか、股抜きパスをされたら鬼は別のコートに守備に行かなければならない②
- 注意点:パスの本数を数え出すのは、別のコートから守備選手が走り出したタイミングから可能
このボール回しではボールを奪われた後の守備への切り替え+長い距離を速い速度で走らなければならないので頭の部分とコンディションの部分の両方を鍛える事が出来ます。
注意すべきポイントは、守備選手がいないコートの選手達がパス交換をしながらも他のコートから守備選手が自分たちのコートに守備に来るかどうかに意識を向けなければならないところです。
他のコートから守備選手が自分たちのコートに走ってくるタイミングからパスの本数を数え出していい、というルールなので、ボールを奪われた後に切り替えて守備に行かなければならない選手も全力で次のコートへ守備に向かわないと、すぐに20本のパスを回されてしまいます。
このボール回しをすると必然的にプレッシャーのスピードが上がりますので、ボールを回している側の選手もコートの外から入ってくる守備選手のスピード感あるプレッシャーに対応していかなければなりません。
最初に紹介したボール回しではなかった、コートの外(死角)から中に入ってくる守備選手のプレッシャーが生じるので、新しい刺激を選手たちに与えれると思います。
まとめ
今回紹介したボール回しはベーシックなものから、少し工夫を加えたものもありますが、基本的には選手達が楽しく行えるトレーニングになっています。
選手達が楽しみながら、なおかつ成長出来るようなメニューを考えれれば、育成年代の選手などはグングン伸びていくと思います。
ボール回しのアレンジを考える際には、実際の試合で起こり得る状況を想定すれば色々とアイデアが出てきますので、皆さんも是非実践で使える能力を鍛えていって下さい。
また今後サカストのYoutubeチャンネルで今回紹介したボール回しを紹介したいと思います!
お楽しみに!