サッカーをやっていて楽しい瞬間、その多くはボールを持っている瞬間、攻撃している瞬間だと思います。ですがボールを持つためにはそもそも相手チームからボールを奪わなくてはいけません。
サッカーをやっているとよく「日本と海外では守備が違う」と聞くことがあります。海外の選手は日本の選手と違って気迫があると。
本当に気迫だけが問題なのでしょうか?
今回は海外サッカーの守備の大きなポイントを3つ紹介していきます。
海外サッカーのやり方が正しい、日本サッカーは間違っていると言うことではなく、そもそも「守備」に対する考え方が違う、ということをこの記事を読んで理解して頂ければ幸いです。
目次
1.ドイツ式の守備を動画で確認!
2.多くの日本人サッカー選手が苦労するドイツサッカーの守備
ドイツには毎年多くのアマチュア日本人サッカー選手が、サッカーの本場ドイツでプロサッカー選手になろうと渡独して来ます。
その選手たちが初めに躓く大きなポイントの1つが「守備」です。これはポジションや、守備が得意な選手、攻撃が得意な選手など関係なく、感じることだと思います。
具体的にいうならば、もしあなたがボールを持っているとして、日本でプレーしている時よりもよりプレッシャーを感じることでしょう。
なぜそう感じるのかというのは、まずそもそもの「守備」に関する考え方が大きく違うということが理由として挙げられます。
日本では11人全員で「守備」を行います。そもそもの考え方としてゴールを守るという意識が強く、抜かれない守備が大前提となります。
対してドイツでは1人のディフェンス×11人といった感覚でしょうか。もちろんチームとして奪いたい場所、タイミングはあるにせよ、まずは個人でボールを奪いに行くことが大事になります。
ですのでまず、ドイツにくる日本人サッカー選手は「守備ができない」と言われることが多いのです。これは本当にその選手が守備ができないわけではなく、本人的には一生懸命守備はしているのですが、日本人の抜かれない守備はドイツでは守備に入らないということなのです。
まずは、そもそも守備に対する考え方が違うんだということを理解することが大事です。
3.ドイツ式サッカーの守備で大事な3つのポイント
ディフェンスに行く時の距離感
まずは距離感ですが、ドイツでは明確に1つの基準が設けられています。それは
「手で触れる距離」
です。これはドイツサッカー協会がきちんと明記している、1つの基準になります。
参考までにこちらの動画をご覧下さい。
先ほども言いましたが、日本では一発でスカッと抜かれることが1番の悪とされるので、まずは抜かれない距離感でストップすることになります。そうするとどうしてもボールを持っている選手からは距離ができてしまいます。
なのでまず、FCバサラマインツでは「全力でボールを奪いにいく」ことを指導しています。自分でボールを奪うためには相手選手に触れる距離まで近づかなければいけません。
そしてこの「本気で奪いに行く」プレーが相手選手にはものすごいプレッシャーとなります。抜かれないように近づいてくる選手と本気でボールを奪いにくる選手ではボールを持っている選手に対するプレッシャーは全く違ったものになるのは想像できるかと思いますが、これが冒頭でお話しした気迫になるかと考えます。
もちろん全速力で相手の近くまで行くので、パッと入れ違ってしまうこともあるでしょう。それこそよく海外サッカーで見るようなシーンだと思いますが…。
チームとしてのタイミングや状況は大事ですが、まずはしっかりと相手選手にプレッシャーを与えることにより、ボールを持っている選手が判断を迫られることになります。アタックにくるスピードが速いほど判断に迫られる時間は短くなりますし、プレッシャーがかかればかかるほど視野も狭くなるかと思います。
これが結果として相手のミスや次の味方の選手がボールを奪うことに繋がるのです。
ですので、まずは全力でボールを奪いに行くことが大事なポイントになります。
足だけじゃなく、体を当てる
ここも日本人とドイツ人では大きく違う部分です。
奪うのがボールなので日本人選手の多くはボールに対してアタックします。要は足だけでボールを突いたり、蹴ったりしようとするわけです。
対してドイツの選手はまず体を当ててきます。
先ほどボールを奪うつもりでいくと言いましたが、試合中に全力でFWの選手としてボールを奪いに行った結果、そこでボールを奪えることは実際ほとんどないでしょう。そこで、この体に当たるということが大事になってきます。ファーストディフェンダーの選手が体に当たることでまずはそのボールホルダーのバランスを崩すこと。すると、結果的にその後のプレーの質が落ちることになり、ボールを奪うことができます。
これはアマチュアの世界だけの話ではなく、レベルは違えどプロの世界でも同じことが言えます
また体に当たりに行くほうが足だけでアタックするよりもファールになる確率も少ないですし、また怪我のリスクも減ることになります。
FCバサラマインツでも日本から来たばかりの選手が足を振り上げるから危ない、とドイツの選手はよく言っています。
まずは全力で奪いに行くことがドイツ式の基本戦術
これまで、ドイツではチームではなく個人で、1人でボールを奪いに行く意識が大事だと書いてきました。
ですがこれはあくまで意識の上での話です。結果的に一人一人の奪いに行くという個人戦術が、グループとして、チームとしてボールを奪うチーム戦術になります。
これは相手のミスが起きたから、ボールが奪えるということではなく、1人目の選手が全力でボールを奪いに行く前提で他の選手たち、2人目や3人目も準備しているから、ボールが奪えるのです。
この意識を持ってドイツ人選手たちは小さい頃から当たり前のようにプレーしてきました。ですので、日本人の選手が1人目として、または次の選手としてしっかりと守備ができないと、それこそがチームにとっての不利益となるのです。
また抜かれた選手も連続的に守備に参加できることも非常に重要な要素となってきます。ボールを持っている選手が2人目、3人目にアタックされているときに、抜いたはずの選手がまたプレッシャーをかけにくる状況。ボールを持っている選手にとってはかなり嫌なはずです。
ですので、抜かれることの方がチームに迷惑をかけると思っている日本人サッカー選手は多いかと思いますが、ドイツでは抜かれることよりも奪いにいけない、プレッシャーをかけられない選手の方がチームにとって物足りないという事を理解しましょう。
まとめ:サッカーを楽しむためにボールを奪いにいきましょう
最初に言いましたがサッカーの醍醐味はやはりボールを持っている瞬間、攻撃している瞬間だと思います。
そのために自分たちで積極的にボールを奪いにいきましょう。
まずは個人としてボールを奪いにいけているのか、しっかりと相手に触れる距離まで近づけているか、足ではなく体で相手にアタックできているのか。
そういったポイントに注目してみてサッカーをプレー、または指導することで新たな発見があるかも知れません。
ぜひ一度チャレンジしてみてください。