「鳥かご」
今までサッカーをやったことのある方なら,誰もが一度はやったことがあるかと思います。地域によっては「ボール回し」であったり「ロンド」などど呼ばれている練習方法の一つですが、ドイツ語では「eckechen (エックシェン)」と呼ばれ、日本と同様に選手たちが大好きな練習メニューのひとつになります。
この練習では、基本的なボールを扱う技術はもちろん、どっちの足で止めるのか、体の角度はどうかなど個人戦術も学ぶことができます。
それだけではなく、人数を増やしたりルールを付け加えていくことによって、攻守におけるグループ戦術などや、単純にコンディショニングトレーニングとしても取り入れる事ができます。
シンプルなトレーニングですが、だからこそ奥が深く、またいくらでもアレンジの効く練習であることは間違いありません。
今回はそんな鳥かごをアレンジしたトレーニングメニューを紹介していきたいと思います。
特に切り替えを早くしたい、楽しくコンディショニングのトレーニングがしたいと思っている方にはぜひやってみてもらいたい、取り入れてもらいたい内容になっています。
目次
1.ドイツ式ノンストップ鳥かごの様子を動画で確認!
2.「ドイツ式ノンストップ鳥かご」とは?まずはルールを確認!
まずはどうやってこのトレーニングを行うのかを簡単に説明したいと思います。
まずは人数に応じて均等になるように3つのグループに分けます。この時、4vs2で鳥かごを行いたい場合は4vs2をふたつと、もうひとつのグリッドには4人の外で回す選手だけが待機している状態になります。
グリッドは人数に応じて大きさを変更してください。
以上のように選手とグリッドを配置できたら、通常通りの鳥かごを行います。少しアレンジが加わっているのはボールが奪われた後です。
ボールが奪われた瞬間、ミスをした選手とそのひとつ前に関わっていた選手が鬼がいないグリッドに移動して守備を開始します。
この時、どこかのグリッドでボールが奪われた瞬間に空いているグリッドで待っている選手たちはパスの数を数え出していいので、鬼になった選手はダッシュで空いているグリッドに移動しなければなりません。(20本パスが回っても鬼は移動しなければいけないルール)
またボールを回す選手たちもグリッドの外から全速力で奪いにくるディフェンダーを相手に準備しなければいけないので、コミュニケーションであったり、身体の向きやパスの方向が大事になってきます。
以上が基本的なドイツ式ノンストップ鳥かごのルールになります。
3.ドイツ式ノンストップ鳥かご大事なポイント3つ
ポイント1 ボールを奪われた瞬間
サッカーというのは4つの局面があると言われています。ボールを持っている(攻撃)、ボールを持っていない(守備)ボールを奪った瞬間(守備から攻撃)ボールを奪われた瞬間(攻撃から守備)、以上の4つの瞬間が存在しているのですが、その中でもこの切り替わった瞬間というのは非常に大きなポイントとなってきます。
例えばディフェンダーが奪った瞬間、フォワードの選手が一発で裏に抜け出して得点する。もしくはボールが奪われた瞬間にボランチの選手が誰よりも早く切り替えてボールを奪いにいく。
などなど、サッカーというスポーツを制する上で非常に大切な瞬間となるのです。
ここが野球やテニスなどど違ったサッカーの特色となるでしょう、要はほぼ45分間、もちろんセットプレーの瞬間などはありますが、止まることのないスポーツなのです。
ですが、多くの選手が、ボールが奪われた瞬間、下を向いてしまう。味方のミスに対して怒る。自分は関係ないからと知らない顔をするなど素早く切り替えて次のプレーに移ることができません。
今回紹介した鳥かごでは、この点が大きなポイントとなります。奪われた瞬間に空いているグリッドを見つけてダッシュで守備に行くこと。そうしなければ簡単にパスを20本まわされてしまいますし、一緒にディフェンスしている味方選手にも迷惑をかけることになります。
実際に行う際には、まずこの「奪われた瞬間」を大事にして行ってみてください。
ポイント2 スピード感
2つ目はスピード感です。先ほどあげた切り替えの部分と被ってしまう部分もあるかと思いますが、この部分ではよりドイツっぽさが出ているかと思います。
サカストではたびたび言っていますが、ボールを奪いにいく感覚がドイツと日本では大きく違います。
奪われた瞬間、全力で移動する、そしてそのままのスピード感で守備することが大切になります。
全力で走っていった後に、その勢いを利用して、ボールを奪いにいくこと。
ボールを回す側の選手たちも全速力で外から走ってきて、守備に入られたら、ものすごくプレッシャーを感じることでしょう。そのプレッシャーからミスをしてくれるかもしれません。そうなればそうなったでおっけいです。要はそれがボールを奪いにいった結果なのです。
ポイント3 コミュニケーション
このトレーニングはダッシュが入るので、心肺的にはきつい練習になりますが、動画を見てもらうと分かる通り、選手たちは非常に楽しんで行っています。
鳥かごというトレーニングメニュー自体が楽しいということはもちろん、よりコミュニケーションを取らないといけないことも楽しさにつながっていると思います。
鬼の選手は、どこに奪いにくのか、を素早い切り替えの中で判断して伝えなければいけませんし、外の選手たちも、いつどの方向から相手が来るのかを伝えなければいけません。
練習を行う際にはこの「コミュニケーション」という点においても注意して行うといいでしょう。
4.ドイツ式ノンストップ鳥かごの更なるアレンジ方法
最後にここからさらにアレンジを加える方法をいくつか紹介していきたいと思います。
①距離を離す
長距離のダッシュを入れたい、または、よりコンディショニングに焦点を当てたい場合には、それぞれのグリッドの距離を離してみるのも面白いです。選手たちは奪えれた瞬間から長い距離をダッシュした後、守備をしなければいけないので体力的には相当しんどいものになります。
ただその分、回すべきパスの本数を調整してあげないと、鬼の選手が回され続けてしまうので、その点は注意が必要です。
②パスの本数を減らす
今回紹介したルールではパスが20本としていましたが、15本や10本にしても鬼の回りが速くなるので、よりコンディショニングに特化したトレーニングをすることができます。
20本の時よりもさらに速く次のグリッドに行かなければならないので、より速く切り替えなければいけませんし、より速くダッシュしなければいけません。
③鬼の2人の間を通されても移動
パスの本数に加えて、2人組の鬼の間をパスが通っても、鬼は次のグリッドに移動しなければいけません。
鬼の2人は一緒に守備をしなければならなくなるので、グループ戦術やコミュニケーションの部分が大事になってきますし、外でボールを回す選手たちも鬼が簡単にボールを奪いにくることができなくなるので、今間を狙うべきなのか、奪いにきていないから外でゆっくり回すべきなのかを判断しなければいけません。
④3vs1のグリッドを数多く作る
以上のように3vs1の小さなグリッドを数多く作ってみましょう。
鬼の選手は奪われた瞬間にどこが空いているのかがより分かりにくくなるので、しっかりと見て判断する必要があります。
また外の選手たちも先ほどの3箇所で行うものよりも、より多くの角度からボールを奪いに来られる可能性があるのでより難しくなります。
まとめ:いつもの鳥かごに一味加えて、目的に合わせて使い分けよう!
もちろんそのまま行っても素晴らしいトレーニングなのですが、いつも同じルール、同じ人数で行うのではなく、目的やテーマによって、ルールやグリッドの大きさを変えることで、より効果の高い鳥かごが行えるかと思います。
全ての練習に通じて言えることですが、これは何をテーマに練習しているのか、どんなことが学べるのかを考えながら行うことが非常に大切です。
サカストではこれからも色々な鳥かごのアレンジバージョンを紹介していければなと思っております。