ブンデスリーガのチームも取り入れる30-15テストとは

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時代とともに大きな変化を遂げているサッカー界。戦術的な進化はもちろん技術の部分、身体的な部分でも10年前と比べてもかなり変わっていることでしょう。

その中でもここ4、5年のうちの大きく変化したことのうちの1つがテクノロジーの進化です。最近だとVAR(Video Assistant Referee)の導入などは大きな話題となりました。またテレビでサッカーを観戦していると試合前、試合中、試合後と非常に多くのデータが見られるようになり、走行距離、最高速度、どの方向に走っているのかなど本当に多くの情報が簡単に手に入る時代になったことは間違い無いでしょう。

そして今、現代サッカーで非常に大切だとされている要素の一つが、

スプリント能力です。

試合中に何キロ走ったのかももちろん大事ですが、それ以上にどれくらいのスピードで何本スプリントができるのかということが選手としての価値はもちろん、チームの勝敗に関しても大事になってきているのです。

今回はブンデスリーガのトップカテゴリーはもちろん、育成年代でもよく行われる「30-15テスト」というものを紹介していきたいと思います。

このテストは日本でよく行われるような持久力テストとは違い、よりサッカーの動きに基づいたものとなっており、先ほどいったどれくらいのスピードで、何本スプリントを繰り返せるのかを測るものになっています。

記事の中で実際のブンデスリーガのアカデミーの数値もお伝えするので是非この記事を読んで、実際に行ってみて欲しいなと思います。

1.実際にテストをしている様子を映像で確認

2.現代サッカーでより求められるスプリント能力

今現在もものすごいスピード感で進化を遂げていっているサッカーにおいて非常に重要になってくるのがスプリント能力です。

スプリント能力=どれくらいのスピードで何本スプリントを繰り返すことができるか

だと理解してもらって大丈夫だと思います。

数年前と比べてもこのスプリント能力が求められてきている理由としては、まず選手それぞれに求められるタスクが多様化してきていることが挙げられると思います。

例えばフォワードの選手で言えば、昔であれば点を取ることだけが求められていました。ですが現代サッカーでは守備の能力はあって当たり前のものとなっています。ボランチの選手などもドイツ語では昔の名残から掃除人などと呼ばれることもありますが、現代サッカーでは守備の仕事はもちろん攻撃になったらゴール前まで飛び出していって得点に絡むことも求められます。

2つ目の理由としてサッカー自体のスピード感が上がったことが挙げられます。

戦術的にもどんどん進化し続けている現代サッカーではしっかりとオーガナイズされたチームに対して得点することがなかなか難しくなってきています。

そんな中、相手からボールを奪った瞬間、奪われた瞬間、チームとして形が崩れている瞬間が大きな得点のチャンス、ピンチとなっています。その瞬間にどれだけゴールに向かってスプリントできるのか?は大事な要素となります。

もちろんチームのスタイル、試合中の状況によって求められうことは変わっていくでしょう。ですがサッカー全体の変化に対応していくためにもこのスプリント能力は必要不可欠なのものでしょう。

3.日本で行われるYO-YOテストはサッカーに適している?

30-15テストの良い点として、よりサッカーの動きに近い、サッカーというスポーツで実際に使うであろう体力が測れるとお伝えしました。

ではまずサッカーの動きとはどういったものなのでしょうか?

サッカーというスポーツは複合性の高い動きが求められます。90分間通して動き続ける持久力、一瞬で最大のスピードを出す爆発力、そしてそれを繰り返すスプリント力、またその疲れた中でボールを扱う技術、1方向にのみ動くのではなく全方向に動くためターンの能力やリアクションも大切になってきます。

では例えば日本でよく行われるシャトルラン(Yo-Yoテスト)はどうでしょうか?

20m間をひたすら走り続けるテストですが、サッカーでいう90分間走り続ける、全身持久力などの測定向きだと言えることができるでしょう。

ですが、ターンの動きは入っていませんし、サッカーはマラソンのように動き続ける持久力ももちろん大切なのですが、と同時に休んでいる状態も存在するスポーツです。その何秒間の間にどれだけ回復することができるのかもまた非常に大切な能力になってくるのですが、それもこのテストでは考慮されていません。

他にも日本でよく行われるものとしては、クーパー走(12分間走)や1200mなどですが、これらも全身持久力を図るものであり、サッカーの動きに特化していません。
よりサッカーのための体力を測りたい、数字にしたいという方にとっては今から紹介する30-15テストはものすごくおすすめのものになります。

また補足なのですが、先ほど言ったYO-YOテストには2種類の方法があります。一つはシャトルランのように20mを往復し続けるやり方、そしてもう一つは間欠性YO-YOテストというものでこちらもサッカーの動きに近いものになっているので、興味のある方は是非一度調べてみて欲しいなと思います。

4.30-15テストの具体的なやり方を紹介

それではここから具体的なやり方を紹介していきたいと思います。

まずは以下の図のようにフィールドを作成して下さい。

音源が必要になってくるので、こちらのリンクから使ってみて下さい。

  • 選手はスタートライン(ゾーンA)から測定を始めます
  • オーディオプレーヤーに従って、選手は次の3mゾーンに、オーディオから流れてくるピーッという音が鳴るまでに到達しておかなければいけません
  • 40メートル離れているゾーンAとCはターニングラインと呼ばれ、選手がそこのゾーンに到達するとまた反転して正反対のゾーンに向かって走ります
  • オーディオから流れてくる特徴的なピーツという音の変化は、15秒間のリカバリーの始まりの合図です。この休憩の間に選手たちは、3メートルゾーンの中でゆっくりと歩き、次の30秒のインターバルに備えます
  • もし選手がピーツという音が鳴る前に3メートルゾーンに到達していなければ、その選手は警告を受けることになります。もし、選手が立て続けに3回警告を受ければ失格となり、その時点でのスコアが最終結果となります。もし、1回警告を受けた後、次のピーツという音の前に到達できれば、これまで受けていた警告は全て帳消しになります

以上が大まかなやり方と大事なポイントとなります。
一度音声を聞いて貰えば分かると思うのですが、時間が経過するにつれて時速が上がっていきます。ですが時速と言われても、「どれくらい走らなければいけないのか」など基準というものがわからないと思うので、今回はあるブンデスリーガのアカデミーチームの記録を参考にしてもらえればなと思います。

U-16年代で平均時速18,5km/h、U -19年代で平均時速20km/h。

ブンデスリーガのアカデミーの選手達はこれくらいの記録を出す事を求められています。
ドイツでもトップクラスの選手達は時速21〜23km/hで走るようです。
是非実際に走る選手達がモチベーションを持って走れるように、このデータをうまく活用してもらえればと思います。

まとめ:サッカーに必要な体力を測定する

今まで体力測定では好成績なのに試合になると走れない、といった選手や、逆に試合だと走れるのにテストになったら走れないなという選手がいるかと思います。

それらはもしかしたら全く違う能力値を測っていたからかも知れません。
もちろん全身持久力、有酸素運動も大切ですが、よりサッカーに特化した、サッカーで使える体力を測ることで、違った選手の一面が見えたりだとか、モチベーションアップにつながるのでは無いでしょうか?

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