大きく変わっていっているゴールキーパーの役割
サッカーというスポーツは刻々と変化し続けています。
昨日までは新しかった戦術や考え方とったものは今日には古いものになっているかも知れません。
そんな中、ゴールキーパーの役割といったものも大きく変化を遂げました。
日本ではサッカーというスポーツで唯一手が使えるスペシャルなポジションで、でも人気のないポジション。
なんとなくあんまりサッカーの(足でボールを扱うこと)うまくない選手が行うポジションだと思われてるかと思います。
しかし、ドイツでは全く違っていて、誰もがやりたがる人気のあるポジションです。
現に世界のトップで戦っているドイツ人選手は有名な選手が多いのが何よりの証拠になると思います。
目次:
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0.動画で見る「ドイツ式GKコーチの役割」
1.ゴールキーパーの役割とは?
役割が大きく変化したといっても、大元の部分は変わりません。
1番大事なことはゴールを守る事です。
簡単な話ゴールキーパーが全てのシュートを止めてしまえば負けることはないのですから。
なので、まず考えることは点を取られないためにどうするのか、シュートを止めるためにどうするのかを考えトレーニングすることです。
よって、役割が変わったというよりは、プラスアルファで担わなければいけない仕事が増えたとイメージした方がいいかも知れません。
特に大きく求められる要因の1つがビルドアップの部分でしょう。
現代サッカーではゴールキーパーから攻撃が始まるといっても過言ではなく、世界のトップゴールキーパーの標準能力になりつつあります。
ここで何度も言いますが、もちろんビルドアップの部分での仕事も大きくなり、足元の技術がないとダメだと言われるようになりましたが、あくまでも一番大事なことはシュートを止めること、このことは常に頭に入れておく必要があると思います。
2.ゴールキーパーのアクションと指導方法(コーチング)
ここからは少し具体的なデータを見ながら説明していきたいと思います。
皆さんは1試合の中でゴールキーパーのアクションの割合って想像がつくでしょうか?
下記は2018年のW杯のデータになるのですが、ほとんどの方がイメージしているゴールキーパーの仕事、要は守備的な仕事よりも、先ほども言いました、ビルドアップなどの攻撃的なアクションの方が圧倒的に多いのです。
このことからも現代サッカーでのゴールキーパーに求められていること、しなければいけないことが分かるかと思います。
では具体的に守備のアクションてどれくらい行ってるの?と疑問に思うかと思います。
2-1.データで見るキーパーのアクション
守備のアクションといっても2つの種類に分けられています。
下記は2019年のチャンピオンズリーグでのあるドイツ代表選手のデータになります。
まず1つ目ですが、それはもちろんまず思いついたであろう、相手のシュートをブロックするなどゴールマウスに飛んでくるボールに対するアクションです。
そして2つ目が相手のスルーパスに対して飛び出す、センタリングに対して飛び出すなどスペースに対するアクションです。
1試合平均の守備のアクションは約10回、その中でも先ほど説明した2つのアクションを分類すると半々か若干スペースに対するのアクションが多いぐらいになります。
こういった変化の中、必然的にゴールキーパーコーチも変化していかなければいけません。
従来のゴールキーパーコーチの形といえば、ゴールキーパーのウォーミングアップから専門的なトレーニング、そして試合形式のトレーニングでは実際のキーパーの後ろに立ち、指示を与える、といったものでしょうか。
しかし、今ドイツサッカー協会はその形を変えようとしています。
2-2.どのようにトレーニング(指導)する?
では具体的にどのように変化していくのか。
簡単に言葉で説明するのであれば、「よりチームと一緒になってゴールキーパートレーニングをしていく」です。
下記は失点の際に起こったミスの原因を分析したものです。
見てはっきりと分かるように、技術的ミス(キャッチミスやダイビングミス)というものはほとんどなく、8割近くが戦術的なミスで失点は起きています。
戦術的なミスとは、簡単なもので言うと、ゴールキーパーとセンターバックの関係です。
センタリングに対して、どちらが反応すべきなのかはっきりとしていない、またはセンターバックがしっかりとシュートコースを消すことができておらず、またゴールキーパーもコーチングできていなかったなどのグループ戦術から、チームして、どのように守備していくのかのチーム戦術まで幅広いものを指していますが、この結果から大きな問題点は技術の部分ではなく状況判断の部分で問題があるということです。
では、チームで行うシュート練習を想像してみましょう。
多くのチームがゴールキーパー対フィールドプレーヤーの形をとっているかと思います。
ですが実際の試合の中でその状況はあるでしょうか?
ゴールキーパーとの一対一の場面。
試合中であれば後ろからセンターバックが追っかけてきているかもしれませんし、横からタックルしているかも知れません。
要はそこで初めて状況判断が入るのです。
ディフェンスラインとゴールキーパーを一緒に指導していく必要がある、失点をチームとして減らすためには、ということです。
ですので最後のゲーム形式のトレーニングだけ見ても、ゴールキーパーだけではなく、ディフェンスライン、もしくはチーム全体に対してコーチングすることでよりキーパーが仕事しやすい環境を作ることができ、結果として失点も減るのです。
以上のことからキーパーコーチにはよりサッカー全体の知識が必要になってきているのです。
またチームとして一緒にという部分で言えば、その日のチームのメインテーマを知るということも大事になってきます。
例えば今日はチームとしてセンタリングからの攻守がテーマだった場合、まずゴールキーパーコーチはウォーミングアップの段階でそのメインテーマに沿ったトレーニングを行います、その後シュート練習、ゲーム形式と一貫としてトレーニングを行うこと、またその際に先ほども言いましたが、ディフェンダーありでシュート練習をした方がいいのか、またゲーム形式でのトレーニングでもディフェンダー含めてコーチング出来るかどうかの部分を鑑みても、ゴールキーパーコーチも他のスタッフ同様にチームのテーマを理解することが必要だと思います。
2-3.GKコーチのライセンスとは?
そしてドイツサッカー協会はこのようなゴールキーパーの変化、キーパーコーチの変化から2021年度よりゴールキーパーコーチのライセンスの制度を変更する予定です。
現在ドイツでは3つのレベルでのライセンスが存在しています。
その内レベル2と3を取得する際に、B級以上の指導者ライセンスの義務化を行うみたいです。これは現代サッカーに変化の流れ的に見ても当然の流れなのかなと考えています。
この記事をきっかけに、よりゴールキーパーと一緒になってトレーニング、またはディフェンスを行うことで減らせる失点があるかも知れませんので、少し注意してみても面白いかも知れません。