「ドイツサッカー」と聞けばどういうイメージがありますか?
「激しい」、「球際」、「ゲルマン魂」、「バイエルンミュンヘン」などそういったイメージではないでしょうか?
では「日本サッカー」と言えばどういったイメージを持ちますか?
世界的に見てもまだまだ確固たるイメージを持たれていないのが現状だと思います。
もちろんドイツには100年を超える歴史があり、その年月がそのイメージを作り出しているのも事実だと思います。
今回はそんなドイツでその「ドイツサッカー」がどの様に言語化されているのか、定義づけされているのか、その点をドイツサッカー協会が掲げるドイツサッカーのガイドラインと一緒に見ていきたいと思います。
目次:
目次
- 1.動画で「ドイツサッカー」の基礎を見てみる
- 2.ドイツサッカーとは?を言語化する
- 3.基礎のガイドラインの図を見てみよう!
- 4.ドイツサッカーの礎を解説!
- Wir wollen den Ball(私たちはボールを持ちたい)
- Wir gestalten das Spiel jederzeit aktiv(私たちはどんな時でも支配を支配する)
- Wir sind in der Lage,versiedene Systeme zu spielen (私たちはどんなフォーメーションでもプレーすることができる)
- Wir finden unter Zeit-, Raum-,Gegnerdruck die beste Lösung (どんなプレッシャー下でも最高の判断を下すことができる)
- Wir antizipieren statt zu spekulieren(推測ではなく予測する)
- Wir coachen uns gegenseitig (お互いにコーチングすること)
- Wir suchen und gewinnen jedes persönliche Duell(私たちは戦いの場面を探して、勝つ)
- まとめ
1.動画で「ドイツサッカー」の基礎を見てみる
2.ドイツサッカーとは?を言語化する
ドイツサッカー協会ではドイツ語で「Unsere weg」、日本語訳にすると「我々の道」となるのですが、それを掛け合わして道路の図を用いてこのガイドラインを表現しています。
今回ご紹介するのは基礎の部分。
これはどの年齢、どのカテゴリーにおいてもこのガイドラインに従って指導、プレーすることで「良い結果が生まれる」といったものになります。
これに加えて、「オフェンスにおけるガイドライン」「ディフェンスにおけるガイドライン」があり、それに関しては次回に紹介したいと思っています。
3.基礎のガイドラインの図を見てみよう!
まずこの画像を見てもらうと、道路の部分が4つの層になっていることに気づくと思います。
実際の道路でもたくさんの層が重なって出来ており、決して表面に見えるアスファルトの部分ではないということです。
まずは1番下の層。
これは「Deutsch Tugenden」ドイツサッカーの特徴を表しています。これに関しても機会があれば別記事で紹介していきたいと思います。
そしてその上に「Spielvision」サッカービジョンですね。
自分たちがどういったサッカーを目指したいかといった部分の層になります。これが今回お話しする部分になります。
その上には育成のコンセプト、トレーニングのコンセプトが重なっている形になります。この時にドイツサッカー今日が大事にしてもらいたいことは、なぜがを理解することです。要はどうやって指導すれば、プレーすればいいのかよりもまずは先になぜそのように指導、プレーすることが大事なのかを理解しなければいけないということです。
次に目を向けたいのは左右に置かれたポールです。そ
のポールからそれぞれの文字が出ていることが確認できるかと思います。このポールはなんなのかというと、自分たちは正しい道を歩んでいるかどうかの道標としても役割があります。
指導者それぞれに選手それぞれに目指したいサッカーというものがあるかと思います。
ポゼッションを高めたい、サイドから攻撃したい、しっかり守ってカウンターしたいなど、があると思われますが、そんな中でもこのポールの幅で動くことで道から外れることなく歩みを進めることができるという意味が込められています。
4.ドイツサッカーの礎を解説!
では実際に基礎の部分の1つ1つの項目を見ていきたいと思います。
Wir wollen den Ball(私たちはボールを持ちたい)
これはドイツサッカーが目指す基本的条件の一つになります。
これは守備時であれば積極的にボールを奪いにいくこと。攻撃時では相手にボールを渡さないこと、自由にプレーすることといった意味が含まれます。
Wir gestalten das Spiel jederzeit aktiv(私たちはどんな時でも支配を支配する)
ここでは攻守において、相手に左右されるのではなく自分たちでアクションを起こし、試合の中で何が起きるか、何を起こすかを作り出していきたいという意味があります。
Wir sind in der Lage,versiedene Systeme zu spielen (私たちはどんなフォーメーションでもプレーすることができる)
どのフォーメーションであっても関係なく、攻撃においても守備においても重要なポジションやスペースを認識し、プレーすることが出来る。
Wir finden unter Zeit-, Raum-,Gegnerdruck die beste Lösung (どんなプレッシャー下でも最高の判断を下すことができる)
ドイツには3つのプレッシャーの種類が定義付けされており、1つ目が時間的プレッシャー、2つ目が空間的プレッシャー、3つ目が敵から受けるプレッシャーになるのですが、それらのプレッシャー下でも最高の決断を下すことが求められます。
そのための選手のサッカーインテリジェンスを鍛えるためにも「認知」の観点からも選手に対して要求し、援助していくことが大事になります。
Wir antizipieren statt zu spekulieren(推測ではなく予測する)
antizipieren=予測する、spekulieren=が推測するという意味なのですが、プレー中に推測で決断するのではなく、経験に基づいてプレーを予測することが大事ですよという意味になります。
常に相手より1歩先に動くためにもこの能力が大事になります。
Wir coachen uns gegenseitig (お互いにコーチングすること)
コーチンングはピッチ内においても外においても「12番目の選手」です。
それが言葉によるものでもそうでなくても絶対に必要な要素となります。
Wir suchen und gewinnen jedes persönliche Duell(私たちは戦いの場面を探して、勝つ)
デュエルという言葉は最近の日本サッカー界ではよく聞く言葉かと思いますが、ドイツでもよく使われます。
「球際」とか「1vs1」とかそういった意味があるのですが、そういった場面をまずは自分たちで積極的に探しにいく。そして勝つ。
まずはこの部分がすごくドイツサッカーらしさを感じさせるのですが、ドイツサッカー協会のホームページでも「各選手たちには試合中にそれぞれに課題、仕事が与えらるがその仕事を果たすための自信を手に入れるためにも、全てに選手たちは基本として、一対一のシーンで勝つことを目指すべきだ。」といった表現がされています。
まとめ
以上で基本的なガイドラインの全ての要素を見てきました。
最後に黄色の文字で「Wir sind modern und inovativ」といった表現がされているのですが、これは自分たちが、ドイツサッカーが、現代の目まぐるしく移り変わるサッカー界において常に最先端を走っていこうという意味が込められています。
これを機会に自チームではどういったことが大事にされているのか、などを実際に言葉として書き出してみるのも面白いかもしれませんね。